卒業式


東京では電車が止まって大勢の人たちが何時間もかけて自転車通勤をしている。こんなときは会社もできるだけ休業にして、電気もガソリンも灯油も東北のほうへ優先的にまわせばいいのにと思うのだが、なかなかそうはならないようだ。近所では、わずかに営業しているガソリンスタンドにクルマが殺到して長い列ができており、オイルショックでトイレットペーパーを奪い合ったのを笑えない状況になっている。こうして幕末の政情不安を背景に大店による買い占めが横行、物価高騰で殺気だった町衆による打ち壊しが多発したのだった。おい越後屋、リッター170円はあんまりじゃねえか。

そんな中、先日、学校では卒業式が行われた。式は電車が止まって出席できない卒業生多数だったとのこと。主役が来られない状況で卒業式もないだろうと思うのだが、学校側としてはとっとと行事を消化して、通常通りの運営で回していきたいというところらしい。コミュニケーションよりもシステムを優先する社会のあり方はしばしばこういうカフカ的な状況をひきおこす。でもさそもそも卒業式って学校のためにあるんじゃなくて、卒業していく若者たちのためにあるんじゃないの。日にちが多少遅れたってかまわないし、格式ばったものでなくていいから、彼らの卒業を祝福するために心のこもった場にしようという声は出なかったんだろうか。

もっとも自分の中学・高校時代を振り返ると、卒業式なんかどうでもいいからこんな所はやく出て行きたいという思いしかなかった。いまさらもうなにも期待していないと。きっと彼らの中にも、式の延期なんかせず、さっさと終わらせてくれて良かったと思っている者も少なからずいるのかもしれない。

ともかく卒業おめでとう。地震で社会は混乱しているけど、良き船出になることを願ってます。