ウィニー裁判


年末に最高裁判決が出て無罪が確定したので、ウィニー裁判の文章を加筆・修正する。


ウィニー裁判
http://www.ne.jp/asahi/box/kuro/report/winny.htm


ウィニー裁判は大阪高裁の判決が出た2年前にも授業で取りあげたことがある。
授業の後、ひとりの男子生徒がやってきて、「おれ、ウィニー使ってるんすけどまずいっすかね」と聞いてきた。
ウィニー自体は違法ソフトじゃないから、それを使って違法コピーさえしなければ著作権侵害にはならないよ」と答えるが、彼は依然として難しい顔をしている。


「ん?どうした」
「うちのおやじ警視庁勤務なんすよ」
「おっと」
「で、ウィニーはおやじのパソコンに入れてるんすけど」
「それはすごくまずいね」
「やっぱまずいっすよね」
「まずいよ」
「やっぱそうっすか」
「もしおとうさんの仕事のデーターがウィニー経由で流出したら大変なことになるよ」
「あ、それは大丈夫っす、おやじ家でパソコンはぜんぜん使ってないっすから」
「まあ万が一ってこともあるし、お父さんの職場での立場ってものもあるから、はやめに削除したほうがいいよ」
「そうするっす」


息子に勝手にウィニーをインストールされるんじゃお父さんも大変である。わたしゃ彼のお父さんに同情するっす。
えっとP2Pはパソコン同士を直結してデーターをやりとりするしくみなので、ダウンロードもはやいけどパソコンの中身を人から覗かれる危険性も高くなる。職員の私物のPCにまでウィニーを入れるなと通達を出す役所のやり方は余計なお世話というものだが、仕事のデーターや人に見られたくないデーターの入ったPCにP2Pを導入するのは避けたほうがいい。というよりもたいていのPCにはそういうデーターがいろいろ入っているものなので、ファイル交換用にP2Pを導入するなら、それ専用に中身を覗かれてもかまわないPCを新たに用意するくらいのことはすべきだ。少なくともP2Pを新譜の音楽ファイルをタダで入手できるソフトくらいにしか思っていないような人が手を出すのは、著作権侵害をどうこう言う以前にリスクが大きすぎると思う。